社長日記

「真実の瞬間」

さて、今日は「真実の瞬間」という本にについて。

広告・プロモーション、イベントというコミュニケーションに関わる業界で仕事をして
いる私自身も、生活者として様々な企業や団体のコミュニケーションに接しています。

商品やサービスに関心を持つかどうか、実際に利用して気に入るかどうか、普段はあまり
意識していませんが、私たちはひとつの商品やサービスに対して、実に多様な角度から
評価して判断をしています。

それぞれの評価は具体的、論理的であることもあれば「好き、嫌い」とか「なんとなく」と
いうような感情的であいまいなものまで、実に様々ではないでしょうか。

このような商品やサービスに対して顧客が評価する接点を「真実の瞬間」と位置づけて、
その「瞬間」の品質を向上させることが、顧客満足の重要なポイントである、と説くのが、
その名も「真実の瞬間」(ヤン・カールソン著)です。

以前「逆さまのピラミッド」という本をご紹介しましたが、私はこのふたつの本のタイトル
をセットで、自分の仕事における「座右の銘」としています。

企業の商品やサービスが提供されるのは店頭など「現場第一線」が多くを占めていると思われ
ます。
まさに、「逆さまのピラミッド」で一番上にくる、頂点を下にした長い辺の部分にあたります。

ここが企業にとって重要な「顧客との接点」であり、この接点での出来事が商品・サービス、
ひいては企業そのものの評価に大きな影響を与える「真実の瞬間」という訳です。

この「接点」は、会社にもよりますがひとつであることはほとんどはなく、数多くの接点に
数多くの人が関わっていますから、ひとりの顧客は複数の「真実の瞬間」を通して、評価を
決めている、という訳です。

最初に「真実の瞬間」について知った講演の中で、「サービスは足し算ではなく、掛け算で
ある。」と教えていただきました。

10回の「真実の瞬間」のうち、9回で良い印象を残しても1回の印象が悪ければ、全て
台無しになってしまう。
なので、この場合の評価は90点ではなく、マイナスになってしまうという事です。

「なるほど!」と感じると同時に、「怖っ!」という気持ちが起こりました。

私たちの主な仕事であるイベントは、「真実の瞬間」のオンパレードのようなものです。
現場でお客さまに対応してくれるスタッフのひとつひとつの応対が評価につながる、という
のは当たり前の事ですが、「足し算ではなく、掛け算。」と考えると、準備段階から含めて
あらゆるヒト・コト・モノがこの「真実の瞬間」、そしてお客さまの評価につながっている
と考えなくてはならない、という事をあらためて実感したのです。

「真実の瞬間」。1990年日本語版発売なのでもう四半世紀も経っていますが、普遍的な
教訓があるので、興味を持たれた方はぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

今日はこれで。