社長日記

小さな下町旅館のビジット・ジャパン・キャンペーン

出張の長旅の時間を使って本を読む事も多いのですが、今週の出張で
読んだ本の事を少し紹介しようかと思います。

「澤の屋旅館」はなぜ外国人に人気があるのか
(安田亘宏著/彩流社刊)

「澤の屋旅館」は東京の下町、谷中にある全12室の日本旅館です。
この小さな日本旅館、日本のインバウンド観光に携わっている人
であればほとんど知っている有名な旅館なのです。

なぜ、こんな小さな宿が有名なのか?

それは、外国人観光客の受け入れを始めた30年ほど前から、実に
100か国以上、のべ14万人以上の外国人宿泊客を迎え入れている、
「伝説の宿」だからなのです。

建物は築40年以上、風呂・トイレは共同、部屋も和室が12室、
館主夫妻と長男夫妻4人の家族経営という規模にも関わらず、
連日7~8か国の外国人観光客で満室という人気ぶり。

少し古いデータですが、2008年の客室稼働率は95%、その9割が
外国人客というのですから凄いです。

政府が観光立国を宣言しインバウンド活性化を目指し「ビジット・
ジャパン・キャンペーン」を立ち上げたのが2003年。
澤の屋旅館が外国人宿泊客の受け入れを始めたのが1982年ですから、
国が始めるず~っと前から、この小さな下町の旅館でインバウンド
の取組みが実践され、目覚ましい成果を上げていたのです。

私は幸いにして、館主の澤功さんに何度かお会いしたりお話しを
伺う機会がありました。
物静かで柔かな表情の澤さんですが、インバウンドの話しになると
本当に熱く語られ、その情熱をひしひしと感じたのを覚えています。

澤さんがおっしゃった言葉で印象に残っているのが、「私にできたの
だから、皆さんにもきっとできます!」という言葉。

外国語はもちろん「インバウンド」という言葉すら知らなかった
当時の澤さんが、手探りで試行錯誤しながら外国人観光客を受け
入れてこられた経緯について、最初にお話しを聞いた時は私も
感動と勇気をいただきました。

今回この本を読み、澤さんのチャレンジ精神と、自らのご経験を
多くの方に広め、外国人観光客受け入れの輪を広げていこうという
情熱をあらためて感じました。

東京オリンピックを控え、外国人観光客受け入れの充実は待った
無しの状況です。

既に、首都圏や関西圏では宿泊施設や観光バスが不足して、受け
入れしたくても出来ない状況も出てきていると聞きます。
一方で、地方の旅館・民宿や小規模ホテルは閑古鳥が鳴いている
という状況も目の当たりにすることがあります。

このギャップを解決することが出来ないだろうか?というのが、
私の問題意識です。
外国人観光客にもっと地方を旅していただく。そして、その宿泊
需要を地方の小さな旅館や民宿、ホテルで受け入れられるように
していく。

そのためには、これまでの日本人相手の商売から、外国人観光客
という新しいターゲットを相手に商売をしていくという意識改革
が求められます。

ぜひ地方の宿泊事業者の皆さんに澤さんの経験談を聴いていただき
勇気を持って外国人観光客の受け入れに挑戦して欲しいな、と感じ
ます。

「地方宿泊施設の外国人向け業態転換」誰か一緒にやりませんか?

今日はこんなところで!