そこに山と滝があるから

山道で交わす「こんにちは」ってなんだ?

山道では多くの方々とすれ違います。

ほんの一瞬の出会いですが、老若男女に関係なく、皆さん一様に「こんにちは」と

挨拶を交わします。

今回はこの挨拶について私なりに考えてみました。

 

丹沢の大倉尾根や大山、高尾山、御岳山といった人気登山ルートでは、何百人

という多くの人にすれ違います。

その都度「こんにちは」と挨拶を交わしますので、言い疲れてしましますよね。

でも、すれ違う人と全く挨拶を交わさなかったら、どうだろう・・

 

そもそも、皆さんは何のために山へ登るのか?

目的は多様だと思いますが、多くの方々は日常の喧騒から一時的に離れ、登山という

身体を酷使する行為を通じて、健康な心身を作りあげる事が目的だと思います。

そんな多くの人が同じ目的をもってすれ違う時に交わす挨拶だからこそ、気持ちの

よいものなんだと思います。

私の様にトレーニングと称して同じ山を何度も登ってばかりいる人も多いかとは

思いますが、私にとってはいつもの山でも、大半の人は初めて登る山だったり、

その季節には初めて登る山だったりしますので、まだ見ぬ世界に想いを馳せ、

期待に満ちた「こんにちは」だったりまします。

また、それまでの自分の限界を超えたチャレンジから発せられる「こんにちは」

だったりもします。

そんな人々の大切な1日、一生の思い出に残るかもしれない1日を台無しにする

事は何人とも許されるわけはありません。

CS理論に「顧客満足とは足し算ではなく掛け算である」というものがあります。

たとえ一期一会でも、その出会いがいやなものだとしたら、素晴らしい1日になるはず

であったその日が嫌な思い出になってしまうかもしれません。

ただすれ違うだけの一瞬の出会いですが、息を切らせながら頑張っている人に、笑顔で

「こんにちは」、「あと少しだよ」などと話しかけてくれたら嬉しくない訳がありません。

何気なくかけた一言で、「挫けそうだったけど、あと少しだから頑張ろう!」などと

思ってくれるかもしれません。

 

過去、私が息子と一緒に登山した際もそうでした。

「よく頑張っているね」、「あと少しだよ」、「何年生?すごいね!」などと励まされた

息子は満面の笑顔であり、また山頂では「よく頑張って登ってきたなー、すごいなー」

などと多くの方々に褒め湛えていただき、そんな息子からは「また行きたいよ」、

更には「僕は山岳救助隊になりたいな」などと言うのです。

そして努力して勝ち得た登山でのご褒美は、言わすもがな素晴らしい眺望です。

雄大な山々、見事な雪渓と青空のコントラスト、山頂から望む夕日、満天の星空、

雲海にご来光、色鮮やかな花々、ライチョウやオコジョといった動物との出会い・・

これは経験した人にしか分かりませんね。

その世界を知ってしまった人は病み付きになり、また「こんにちは」と元気に挨拶を

繰り返すというものなんだと思います。

 

挨拶って人と人を繋ぐコミュニケーションの入り口なんですね。

挨拶から始まり、挨拶に終わる。

その間は励ましだったり、情報交換だったり、時には心配をしたりして言葉を繋ぎ

ます。

例えば、「数メートル先に蜂の巣があって、皆刺されているからトラバースした

方がいいよ」、「この先で蛇を見かけたから注意してね」、「この先の山道が崩れ

かかっていて危険だから要注意だよ」などと時として情報を交換します。

また、具合が悪そうな人がいたら気にかけたり、怪我をした人がいたら応急処置を

してあげたり、困った時に何もない山だからこそ、挨拶をきっかとしたコミュニ

ケーションから始まる人心が存在します。

あとは多くの人が経験している事だとは思いますが、人が少ないルートで不安に

なっている時に、前から人が来て「このルートは●●に抜けるルートで間違いない

ですか?」なんて話しかけた事ってありますよね。

そんな時はルートの正否に関わらずも、自分の現在位置がつかめただけで安心した

事でしょう。

 

挨拶の重要性に関して、長々と乱文を書き連ねてしまいました。

ここまでお付き合いいただき、誠にありがとうございます。

私はこれまで多くの山歩きをして来ましたが、上記に該当しない方をたくさん山中で

見かけました。

挨拶をしない、危機管理もしないで、人の言う事に全く耳を貸さない人がいました。

ヘッドフォンをして、大音量の音楽を聴きながら山歩きをしている人もいました。

背景には過信によるもの、または人に関わる煩わしさが存在し、そしてそのような

行動になってしまうのでしょう。

普段は登山者に対して優しい山でも、季節や天候状況によって牙を剥きます。

装備不足、経験不足、知識不足、危機管理不足など、様々な不足要因により遭難は

起こります。

遭難を防ぐ術は、五感を研ぎ澄まし、装備や知識の重要性に再認識していただき、

そして挨拶から始まるコミュニケーションの重要性をしっかり認識していただいて、

安全登山に心がけていただきたいと思うのです。

 

 

以下おまけです。

私にとっては日常的なトレーニングの山ですが、先週土曜の丹沢大山。

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快晴の中の富士方面。

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富士。

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相模湾。 大島の先に利島と新島の島影。

丹沢大山は、表参道を避ければ人が少なくて登りがいのある山です。

ある程度の経験と体力が必要ですが、大山三峰や日向薬師から登り、蓑毛や弘法山方面へ

抜けるのル-トがオススメです。

 

次は日曜日の高取山&仏果山。

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山頂の展望台です。

仏果山は仏果和尚が修行したと伝えられる低山ですが、経ヶ岳へ抜けるルートは

ヤセ尾根などが連続して何気に楽しいルートです。

 

では、引き続き次なる山を目指します。

行動あるのみです!